ここ数週間、サンタバーバラやベンチュラのビーチを含む南カリフォルニアの海岸沿いに、病気のアシカが多数打ち上げられている。いつもは海の中で気持ちよさそうに泳ぐアシカたちにいったい何があったのだろうか。
専門機関によると、この惨状はこの地域でかつてなかった規模の有毒藻類の発生によって引き起こされているという。
先週の時点で、地元当局は100頭以上のイルカと500頭以上のアシカがこの藻の大発生によって死んだと推定している。そして毒素は徐々に北カリフォルニアに広がっているようだ。
チャンネル諸島海洋野生生物研究所を率いるサミュエル・ドーヴァー氏は、彼のキャリアの中でこれまで6回の藻の大発生を目撃しているが、今回の藻の大発生はこれまでで最悪のものだと語る。今回は、多くの動物がいる水路の真ん中に藻が発生してしまったのだ。
藻類は通常、池の藻や昆布のような形で見られる良性の植物である。しかし特定の条件下で、制御不能なほど成長し、致命的な毒素を発生させることがある。
これがブルームと呼ばれる現象で、これまで藻の大発生は水道水を汚染し、ビーチを閉鎖に追い込み、沿岸海域を変色させ、数え切れないほどの動物を死に至らしめた。
藻の大発生は自然現象と考えられているが、その頻度や強さには気候変動や人間活動が関わっている。
カリフォルニア州における藻の大発生は、風が栄養分を含んだ水を藻に与え、藻を成長させたことが原因だと考えられている。
カリフォルニアで発生した藻類はドウモイ酸を生成する。このドウモイ酸は一般的に人間には影響しないが、動物にとっては有毒である。
アシカがドウモイ酸中毒を起こすと脳に影響を及ぼし、発作、不規則な行動、目の膨張、口から泡を吹くなどの症状を引き起こす。現在ビーチを訪れる人には、病気の動物が攻撃的になった場合に備えて、少なくとも50フィート(約8メートル)離れるよう警告されている。
ドウモイ酸中毒に対する解毒剤や特効薬はないのだが、獣医師は一部の動物に抗痙攣薬を投与し、水分補給を続けることで、毒素が体外に排出されることを期待している。しかし問題は、毒素が動物の体内に長くあればあるほど、中毒の治療が難しくなるということだ。
とりわけ妊娠中のアシカが、この藻の大発生によって最も深刻な影響を受けているという。
多くのアシカやイルカたちが藻によって苦しみ死んでいる事実は非常に辛いが、昨年、南カリフォルニアが藻の大発生に見舞われたときは、約6週間続いたとドーヴァー氏は言う。
8週目に入った現在の大発生も改善に向かっているようで、海岸に現れる病気の動物も少なくなってきている。
これは良い兆候ではあるが、プロセスを早めるためにできることは多くない。減少するのを待つしかなく、しかもこれほどの規模では、藻によって汚染された海を浄化することはほぼ不可能である。
気候変動を引き起こしている人間への警告と受け止め、地球規模で対策を進めていかなければならない。
関連URL: Sea lions are sick and dying along Southern California's coast. Here's what to know