大阪に住む人は大阪弁、博多の人は博多弁を話すのと同じように、地域によってインコも方言を話すことが研究で明らかになった。
ドイツのマックス・プランク動物行動学研究所と進化人類学研究所の研究チームは、ヨーロッパの4カ国8都市で野生のモンクインコが発する鳴き声を比較した。
ヨーロッパには在来種のインコはおらず、ペットの飼い主から逃げ出した個体が群を形成して増えていった。ヨーロッパに多く生息するモンクインコはもともと南米原産で、ヨーロッパにやってきてから50年、この種は国や都市によって異なる方言を発達させたようだ。
研究者たちはスペイン、ベルギー、イタリア、ギリシャの8都市でモンキクインコの鳴き声を録音した。
「異なる方言があるかどうかだけでなく、それがどのような地理的スケールで発生するのかを知りたかったのです」と研究チームに所属するティンデル氏は言う。
その結果、インコはそれぞれの都市で異なる方言を持っていることがわかった。たとえばブリュッセルのインコは、ほかの都市とは特に異なる鳴き方(異なる構造の周波数変調)をしていた。
次に研究チームは、同じ都市内にあるいくつかの公園で鳴くインコの声を調べたが声に違いは見られなかった。オウムの鳴き声は公園によって違うということはなかったのだ。
この結果は驚くべきものだったとティンデルは言う。方言が生まれた経緯は2つ考えられ、1つはインコがほかのインコの声をマネするなかで間違いが生じ、都市間で鳴き声が変わっていったという説。もうひとつは、初期の時点で鳴き方が異なっており、その違いが時間の経過とともに維持されたという考え方だ。
「方言はパスワードのように、だれがどの巣の集団に属しているかを伝えるために使われるのではないかと考えています」と研究者のスメール氏は言う。
今後研究チームは、個体同士がどのように学び合っているのかをさらに追究し、また、公園内にいくつか存在するインコ小さな群がスラングのような発声の違いを示すかどうかを調べる予定だ。
「この研究によって、複雑なコミュニケーションが人間や動物の複雑な社会生活とどのように結びついているのかという問いへのヒントが得られるでしょう」とティンデル氏は展望を語っている。
関連URL: Study is the first to document dialect differences in a parrot across its European range