大学生になって実家から巣立ち、新しい環境で始める一人暮らしは大きな不安とストレスを伴う。時間とともに慣れて大学生活をエンジョイできる学生もいれば、課題などに追われてなかなかストレスのはけ口を見つけられず病んでしまう学生もいる。
イギリス人のアリス・ジョンストン・バートさんは、ブリストルにある西イングランド大学で野生生物学と生態学を専攻している。課題の締切や論文に追われてかなりのストレスを感じており、家族や実家のペットが恋しくてホームシックを感じることも多々あった。
アパートに引きこもりがちだったアリスさんが4年生のときに始めたのが、ドッグシッターのボランティアだ。地域で犬を飼っている人と、無料でシッターをしたい犬好きをつなぐオンラインプラットフォームを通じて、週に数回、散歩などの世話を引き受けた。
アリスさんはこのボランティアが、自身のメンタルヘルスと幸福度を大幅に向上させたと言っている。外に出て犬と触れ合うことで気持ちが落ち着き、学校の課題にも集中して取り組めるようになったそうだ。
動物介在療法を専門とする心理療法家、ダニエル・フライヤー氏は、犬の世話をすることで得られる精神面でのメリットには、きちんとした科学的根拠があると語る。
犬をなでるとオキシトシンという愛情ホルモンが分泌され、オキシトシンは血圧や心拍数を大幅に下げて、免疫システムの機能を向上させてくれる。
犬は純粋で、人間を判断することなくまっすぐ愛してくれる。そんな動物と触れ合う時間は精神的な癒しになるし、さらに一緒に散歩をすると運動によって悩みや孤独感を軽減できる。
20歳の大学生、ララ・ミドルトンさんは、ブリストル大学で勉強を始めた直後にドッグシッターを始めた。フェニックスという保護犬の世話を週1回するようになり、すぐに打ち解けて特別な絆を築いた。
「大学の授業や夜遊びのためでなければ、アパートを離れるいいわけを思いつくのが難しいのに気づきました。イースターの直前は、同じ週に4つのエッセイを提出しなければならなかったのですが、それでもフェニックスに会う時間を作りました。一日中、家の中で勉強していても意味がないし」と、フィニックスとの交流のおかげでメリハリのある生活を実現できたと言う。
飼い主がいなくて家で退屈している犬と、ストレスと孤独を抱える犬好きの大学生をマッチングする社会貢献。今後はイギリスに限らず世界中で広がっていくかもしれない。
関連URL: Dog sitting helping stressed and isolated Bristol students