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ノミ・マダニ予防、春・夏だけでは不十分? 「通年」という新しい考え方

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 今年7月に日本で発売が開始された、新しいタイプの犬用ノミ・マダニ駆除剤「ブラベクト錠」。国内ではまだ珍しい経口のチュアブルタイプで、1錠で3ヶ月間効果が持続することが特徴の同製品は、年4回の投与で1年を通して害虫対策を行うことを勧めている。

 「ブラベクト錠」の販売元である株式会社インターベット主催により、先月都内で実施されたドッグオーナー向けイベント「ワンちゃんの健康づくり勉強会」では、「病気予防」の観点から愛犬の健康管理についてオーナーが知っておくべき基礎知識が提供されたのだが、そのなかでも“害虫対策の通年化”がひとつのキーワードとなった。その理由としてあげられたのは、ペットを取り巻く飼育環境の変化だ。

 通常マダニやノミなどの害虫と遭遇する場所は草むらや森といった自然の豊かな場所に限定されているように思われがちだが、白金高輪動物病院 総院長・佐藤貴紀先生が実施したセミナー「ワンちゃんの長生きのために」のなかで、佐藤獣医師は都心部も安全ではないと指摘した。

「東京では“ノミ・マダニが媒介する病気が発生することはありえない”と見逃されてしまうケースもあるかもしれませんが、逆に都内ではマンションなど、年中暖かい場所も増え、ノミやマダニが通年で生息していると言われています。ですので、(都心部のオーナーも)ノミ・マダニの被害は他人事ではないと認識してください」

 加えて、通年予防の重要性を高めているもうひとつの要因が、ここ数年問題となっている、新しい感染症の存在だ。なかでも、マダニが媒介する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が問題となっていることは、メディアにも大きく取り上げられていたので、記憶している人も多いだろう。

 2013年に第一号の感染症患者が確認されて以来、南は鹿児島から北は石川まで、全国で163件の届出があり、うち43名が亡くなっている(2015年10月28日時点/国立感染症研究所発表)。

 発症時期に関するデータによれば、やはり4月~8月の暖かい時期の発症が多いものの、本格的に寒くなる今時分から3月にかけての冬場も毎月1~2件の発症が確認されており、ほぼ1年を通して感染のリスクがあることがわかる。

「当初は中国にしかないと思われていたウィルスがここ数年国内でも見られ、ジリジリ北のほうにも広がってきています。マダニにより感染するわんちゃんの『バベシア症』と同じように、全国的に見られるようになる可能性があるのではないかと心配されています(佐藤獣医師)」

 マダニによって媒介される原虫「バベシア」が原因となる「バベシア症」は、重度の貧血症状や発熱、黄疸(おうだん)などの症状を引き起こし、急性の場合は死に至ることもある、犬に見られる感染症のひとつだ。都内にある佐藤獣医師の病院にも、旅行先などでマダニに刺されバベシア症に感染した犬が来院したケースが数件あったという。

 佐藤獣医師はさらに続ける。「わんちゃんの場合、マダニが媒介する病気としては『バベシア症』や『ライム病』が多く見られますが、実はもっとほかにもあるかもしれません。例えばSFTSは、人間の感染が問題になっていますが、犬に感染しないかというと、まだわかっていないのが実情です。ですので、マダニの速やかな駆除が、何より大事です」

 ペットを家族同様に大切に扱い、完全室内飼育が推奨されている現在。動物たちにも快適な生活を提供できるようになった一方で、室内で人と密接に接触する機会が増えたことにより、佐藤獣医師があげた「ライム病」のような人畜共通感染症(ズーノーシス)にかかるリスクの高まりが懸念されているのも、事実だ。

 大切なペットとの暮らしのみならず、自分自身の身を守るためにも、害虫予防に対する考え方や対策について、一度見直してみてはいかがだろうか。

関連URL: 国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」 ブラベクト錠 公式サイト

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