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井の頭自然文化園で飼育されていた国内最高齢のゾウ「はな子」69歳で死亡

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 戦時中、日本では動物園にいた多くの動物たちがさまざまな方法で殺処分された。戦後の1949年、タイ政府が「日本の子ども達にゾウを見せたい」と上野動物園に、当時2歳半の「カチャー」を寄贈。カチャーは上野動物園で亡くなったゾウの「花子」にちなみ「はな子」と名付けられ、移動動物園として日本各地の子ども達に笑顔を与えた。

 その後、はな子は、武蔵野市や三鷹市の市民からの要望を受け、井の頭自然文化園に移されたが、木や土や砂がないコンクリートで作られたゾウ舎は、はな子には棲みづらい場所だった。まして、本来は群れで生活するゾウが、たった1頭で飼育されるなど、ゾウとしての習性を無視された環境がはな子にストレスを与え、どんどん気性の荒い性格になってしまった。

 そんな中、はな子は、深夜に酔ってゾウ舎に入り込んだ男性と、男性飼育員を踏み殺してしまうという事故を起こす。世間やマスコミから「殺人ゾウ」と非難され、殺処分すべきという意見も出たが、園は、はな子を狭いゾウ舎に鎖でもつなぎ、2ヶ月間閉じ込めた。その心労ではな子は、あばら骨が浮き出るほどやせ細り、4本あるうちの3本の歯を失い、人間不信となり、ますます心を閉ざしてしまった。

 そんなはな子を飼育員の山川清蔵さんがつきっきりで面倒をみ、6年以上の年月がかかったが、はな子は少しずつ山川さんに心を開くようになっていく。8年かかり、やっと元の体重に戻ったはな子と山川飼育員の交流が本やドラマとして紹介されたこともあり、はな子は井の頭自然文化園のマスコット的存在として人気を集めるようなる。

 しかし、60歳を過ぎたころから、はな子はまた気むずかしくなっていき、飼育員や獣医師にケガを負わせることがあり、園はそれまでのようにはな子に直接触れる飼育方法を、柵越しに行う準間接飼育法に切り替えている。

 はな子は、66歳になった2013年から、国内最高齢のゾウとして記録を更新してきた。今年3月には、はな子の「69歳を祝う会」が予定されていたが、はな子の体調が思わしくないため中止になり、はな子は屋外運動場には出てこなくなっていた。

 26日、午前8時半ごろ、ゾウ舎で横たわっていたはな子を飼育員が発見。立たせようとしたが、徐々に反応がなくなり、午後3時過ぎに死んだという。老衰とみられる。園は、ゾウ舎前に献花台とメッセージを書くための用紙を設置する。

関連URL: 井の頭自然文化園「さようなら、アジアゾウ「はな子」

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