小型ボートでホエールウォッチングを楽しんでいた家族は、思わぬ来客に驚きを隠せなかった。
なんと海の中から1匹の野生のアザラシが現れ、ボート後部に飛び乗ったのだ。実はそのアザラシはシャチの群れに狙われており、命の危険を感じたアザラシはとっさの判断でボートに助けを求めたのだ。
シャチはボートの周りを何度もぐるぐると泳ぎながらアザラシを捕らえようとしている。人間が見てもゾッとする光景だ。
恐怖におびえるアザラシは数回海に滑り落ちながらも、２つのエンジンの間に隠れ、力を振り絞ってまたボートによじ登る。
ボートに乗っていた家族は「そこに居ていいから、動くんじゃないよ」とアザラシに声をかける。その間もシャチは獲物を逃すまいと至近距離までついて来ては、逆さまになってボートの下を潜り抜けたり、尻尾を叩いて脅すような行動をとり続けた。アザラシとボートのメンバーができるのはただじっと辛抱強く待つだけ。
数十分が経ち、ついにシャチたちは痺れを切らし、アザラシを諦めて去っていった。そして幸運で賢いアザラシは安堵感とともにまた海へ戻っていった。
「よくやった！生き残れたね」と声をかける家族。クジラよりも見応えのある自然界のドラマを観て興奮している様子だ。
食べて、食べられるという自然の摂理とはいえ、だれもがその状況に直面すると弱者を助けてあげたくなってしまう。きっとアザラシもその恩を忘れずに生きていくだろう。
