公園などでハトに食べ物を与えたら、仲間のハトが次々にやってきて収拾がつかなくなったという話を聞いたことがあるが、まさかアライグマでも同じことが起こるとは知らなかった。
ワシントン州ポールスボ近郊に住む女性は、これまで35年間にわたって近所に住む野生のアライグマに食べ物を与えてきた。アメリカではそのように、アライグマを可愛がって食べ物の残りものやドッグフードを与える人は少なくない。
しかしこの女性の場合、今年の8月から自宅周りのアライグマの数が爆発的に増え、食べ物を求めて100匹以上のアライグマが女性の家を包囲する事態になってしまった。女性は昼も夜も家から出ることができず、地元警察に助けを求めた。
現場を訪れた保安官は、これほど多くのアライグマが一箇所にたむろしている状況を見て、ショックを隠せない様子だった。
「どういうわけか、アライグマのコミュニティでうわさが広まり、アライグマたちは食事を期待して彼女の家に現れたのでしょう」と、キトサップ郡保安官のスポークスマン、ケビン・マッカーティー氏は地元NBC局9Newsに語った。
アライグマは目の横の黒い毛色が覆面をした泥棒のように見えることから「ゴミ山賊」、あるいはゴミ箱に飛び込んで残飯を探す習性から「ゴミパンダ」というあだ名で呼ばれることもある。かわいがる人がいる一方で、毛嫌いする住民も多い。
「気がついたのはここ1ヶ月くらいでしょうか」と、近くに住むウェンディ・クロンクさんは9Newsに語った。「最近、庭にアライグマが何匹も出没するんです。うちの犬も何度かアライグマと取っ組み合いになり、獣医に連れていくほどのケガをしました。この辺りの道路では車にひかれたアライグマもよく見かけます」と不満を吐露している。
「第三者が介入して、彼女がこの問題を解決する手助けをしてくれることを願うばかりです」とクロンクさんは言っているが、アライグマは賢く、特定の場所への執着心が強いことから追い払うのが難しく、捕まえて違う場所へ住まわせるために1匹あたり500ドルの費用がかかる。
熊もそうだが、環境破壊や異常気象の影響で自然のなかで食べ物を十分に得られない動物が住宅地にやってくるという問題が世界中で起きている。
アライグマ数匹に食べ物を与えてしまった女性の代償は非常に大きく、近隣住民からも非難されて肩身の狭い思いをしている。自分の身を守るためにも、野生の生き物には絶対に食べ物をあげない方がいいだろう。
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