
いつもは従順でおとなしい愛犬が、突然狂ったように牙をむき出して怒ったり、人やほかの動物に襲いかかったりすることがある。
イギリスのサウスシールズ在住のホリー・テイラーさん(33歳)は、5歳の愛犬スプロッジに顔を噛まれたという。スプロッジはコッカースパニエルで、決して獰猛な種ではなく、それまではテイラーさんを噛むことはなかった。
「完全にショック状態でした。テレビを観ていたら突然スプロッジが襲ってきたんです。顔を押さえましたが、血が手から流れ落ちるのを感じました」とテイラーさんは回想した。
すぐに駆けつけたパートナーが彼女の顔を確認したが、彼のショックな表情で、傷が深刻だとテイラーさんは悟った。頬に深い噛み傷が残り、鏡で初めて自分の顔を見た時は吐き気すら覚えたと明かす。
襲撃の翌朝、彼女はスプロッジを獣医に連れて行った。犬の急な行動変化は重篤な病気、たとえば腫瘍、脳出血が原因となる可能性があると獣医師に伝えられ、テイラーさんはスプロッジを安楽死させるという辛い決断を下した。
「彼はもう私が知っていた、愛していた犬ではなかった。以前のように彼の顔に近づくのが怖くて、きちんと別れを告げることもできなかった。人生で最悪の日だった」とテイラーは振り返った。
テイラーさんはすぐに傷跡を縫う手術を受けたが、噛まれた後の数週間、顔はひどく腫れ上がり、激痛に耐えなければならなかった。スプロッジを失った心の痛みも重なり、胸が張り裂ける思いだった。
また、テイラーさんは報道関係の仕事で人前に出る立場だったため、どうやって職場復帰すべきか悩んでいた。
「 将来の結婚式の写真のことを考えたり、これから出会う人全員にこの傷の経緯を説明しなきゃいけないと思うと、頭が混乱した」とテイラーさんは続けた。
端正な顔立ちだからこそ、残った傷跡は彼女の自信を奪ってしまった。
しかしその後、最新のレーザー治療を受けたことで状況は好転し始めた。彼女は皮膚科医によるフラクセルレーザー治療を受けた。これは皮膚のコラーゲンを刺激し、治癒を促進する皮膚再生治療である。
この治療のおかげで傷跡や縫った跡はほとんど消え、彼女の顔に笑顔が戻った。テイラーさんは「この数ヶ月のトラウマ的な経験の後、自信を取り戻させてくれたし、暗いトンネルの先の光となってくれた」と語った。
最愛のペットを失ったことを振り返り、テイラーさんは「このような事故が他の人に起きてはならないという想いが、スプラッジを安楽死させる決断を後押しした」と付け加えた。
「人生で最も胸が張り裂ける決断でしたが、正しい選択でした。私の犬が他の人を傷つけるリスクは冒せなかったのです。もしそうしていたら、私は決して自分を許せなかったでしょう」。
悲劇を自分だけで終わらせ、失ったスプロッジの命を惜しみながらも前を向いて生きている。








