
アフガニスタンやインド、ネパール、中国、モンゴルなどの標高の高い山には、厳しい気候のなかで生きるめずらしい動物たちがいる。
なかでもマヌルネコ(Pallas cat)と呼ばれるヤマネコは、なかなか目撃できない幻の動物として知られている。約520万年前にヒョウの系統から分岐し、現存する最古の野生ネコ科動物の1つとなった。マヌルネコは厚い毛皮に覆われ、岩だらけの低木が生い茂る斜面に溶け込むようにひっそりと生息する。
昨年、これまで目撃例がなかったインド東ヒマラヤ地域でマヌルネコが見つかり、隠しカメラにその姿がしっかりと映っていた。
お世辞にも「かわいい」とは言えない容姿のマヌルネコ。世界で一番不機嫌な猫と呼ばれる理由は、左右に離れた耳と、目つきの悪さだろう。岩陰に臥せて岩の上から目だけを出して獲物を狙うのに適しているからだと考えられている。
丸々と太ってみえるのは、雪の寒さに耐えられるよう、体毛が長く密集して生えているから。雪の上や凍った地面の上で腹ばいになって獲物を待ち伏せするときに体を冷やさずにすむ。
マヌルネコは世界で最も研究が進んでいない野生ネコ科動物の1つであり、撮影されることは極めて稀である。今回ヒマラヤでの撮影に成功したのは、長期にわたる試行錯誤の結果だ。
研究者らはウェストカメン郡とタワン郡の間に位置する83の遠隔高地地点に136台のカメラトラップを設置した。険しい地形が広がる2,000平方キロメートル以上にわたり、これらの装置は8か月以上も稼働を続けた。
そして氷点下の標高4,992メートルの地点で、凛々しいマヌルネコの姿が記録されたのだ。この発見は、まだ未知の多いヒマラヤ山脈での生物の多様性を紐解く手がかりとなると研究者は話す。
欧州ではマヌルネコの飼育繁殖を行ってきたが、感染症による死亡率が高く、野生ではない飼育下での繁殖は難しい。生息地である高地は病原菌が少なく、体の免疫力が低いためだと考えられている。
それでも世界的に動物園が連携して繁殖が試みられており、日本では東山動物園が1999年にマヌルネコの国内初の繁殖に成功した。繁殖しても生後半数以上は感染症で亡くなってしまうが、生き残ったネコは現在、神戸どうぶつ王国や旭山動物園などで元気に育っているようだ。
関連URL: Grumpy-looking Pallas's cat photographed by camera trap in stunning photo from eastern Himalayas








