サンディ上陸前、米動物虐待防止協会(ASPCA)や米動物愛護協会(HSUS)などの動物関連団体やメディア各社は、ペットに関して事前にやっておくべき準備や避難時のアドバイスなどを紹介し、ペットオーナーに注意をうながしてきた。しかし、予想をはるかに超える被害の大きさに、被災地はかなり混乱しているらしい。
31日付の米「ピープル」誌によれば、ニュージャージー州で避難指示を受けたある家族が愛犬を置いていくように言われ、泣く泣く家に残し避難所に向かったら、他の避難者はペット同伴で来ていたという事態が起きていると報じている(愛犬はのちに救助され、無事一家は再会できたそうだが)。
また、別のケースでは、避難指示が出ているにもかかわらず、ペットを置いていけないと家にとどまる人や、家に置いてきたペットを案じるあまりパニックを起こす人なども見られたという。
ただ、実際には多くの避難所や動物シェルターがペットの受け入れを行っているそうで(なかには動物同伴者を受け入れるホテルなども)、たとえばニューヨーク市では、76ヶ所すべての避難所でペットを受け入れており、同市とコニーアイランドの避難所にはすでに400頭を越えるペットが身を寄せているという。さらに、緊急避難に市内の鉄道や地下鉄、タクシーを利用する場合、ペットの同伴が認められている。
一方で、ニュージャージー州のアトランティック郡動物愛護協会のように、動物シェルター自体が浸水被害に遭ったケースもある。浸水が始まったとき、スタッフは動物たちのケージを室内の高い場所に避難させ、ポンプをフル稼働して排水を行うなど、対応に追われたという。同協会のFacebookページにはボランティアや物資支援の申し出が多数寄せられているが、シェルターの電話やインターネットがつながらないため、支援者の声が届いているかどうかは不明だ。
ASPCAやHSUSでは現在義援金の募集を行っているほか、行政機関と連動して24時間体制で救助要請を受けつけ、自宅に取り残されたペットの救助活動を展開している。
また、FacebookやTwitterを通じた支援の輪も広がっているようで、ペットが行方不明になったり、迷子ペットを保護した人のための専用Facebookページも立ち上がり、盛んに情報交換が行われている。
そのほかの動物関連施設で大きな被害が出たのは、沿岸部に位置する水族館だ。なかでも、コニーアイランドのニューヨーク水族館、ポイントプレザントビーチのジェンキンソン水族館の被害は深刻で、再開の目処が立たないという。
施設全体が水没したニューヨーク水族館では、スタッフが施設に泊まりこみ、排水作業や動物たちの世話にあたっているものの、水槽のろ過装置などを管理する地下の機関部が浸水したため、復旧作業が長引く場合、動物たちを他の施設に避難させる可能性もあると、NBCの朝のニュース番組「トゥデイ」が報じている。
動物たちのなかには、アラスカから先月頭に来園したばかりの赤ちゃんセイウチ「ミティック」がおり、体調が不安定なため、避難の際の搬送が負担にならないか心配だ。
なお、動物園・水族館を管理する野生生物保護協会(WCS)は、ブロンクス動物園やセントラルパーク動物園など、ニューヨークの他の動物関連施設の動物たちはみな無事で、施設に大きな被害はないため、1日より順次再開する予定だとしている。
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巨大ハリケーン「サンディ」 動物たちにも大きな被害が 米国
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