動物の夜間展示に関しては、2012年6月に施行された動物愛護管理法の改正省令で、犬や猫の幼齢個体の夜20時から朝8時までの深夜展示を禁止することが規定されたが、猫カフェ関連事業者からの陳情を受け、休息ができる設備に自由に移動できる状態で、成猫(1歳以上の猫)を展示する場合に限り、20時から22時までの夜間展示は規制の対象としないという経過措置規定が設けられていた。
この経過措置期限が今年5月で切れることを受け開催された今回の部会では、同様の議題について話し合われた先の動物愛護部会において課題とされ、本部会までに追加で実施された猫カフェの実態調査や、猫のストレス状態調査などの結果が公表され、そのうえで期限が切れる6月以降の規制のあり方について話し合われた。
部会のなかで明らかとされた猫カフェにおける猫のストレス調査の結果によれば、調査対象となった猫カフェは73店舗。各店舗、生後1年以上の成猫4頭程度の糞を採取し、そこに含まれるコルチゾール濃度(※)を測定することにより、ストレス度合を調査した。
そのデータを20時までに閉店する店舗と、1日でも20時以降に営業していた店舗に分け比較したところ、後者のデータのほうが平均濃度が低い傾向が見られたものの、特に有意差は見られなかったという。
一方で、店舗間の結果においては有意差が見られたことから、閉店時間による差異より、店舗における飼育環境の何かしらの違いが猫のストレス状態に影響を与える可能性があるとし、今後の調査では猫の飼育状態による注意点を解明する必要があると結論づけられた。
同省はこれらの結果を受け今後の対応として、猫カフェも例外なく夜20時から朝8時までの深夜展示を禁止とする案(案1)と、経過措置期間に設けられていた特則を正式に採用する案(案2)を提示。
これに対し委員からは、案2に対しおおむね了承しつつ「休息ができる設備」の定義が曖昧であることから、もう少し踏み込んで「身を隠せる設備」と定義するべきといった意見や、一方で猫の性格を鑑みて、見知らぬ人が入れ替わり訪れる猫カフェにおいては、基本的にストレスから逃れることができないとし、案1を採用するよう求める意見などが出された。
本部会では上記のいずれかに決定することはなく、同省は基本的な方向性として案2を採用し、今回の部会での審議結果を検討したうえで表現などを修正しつつ、パブリックコメントを実施し国民からの声も聞いたうえで、最終案を固めるとしている。
なお、本部会では上記以外にも、同省が現在実施している動物愛護に関する取り組みについて報告がなされた。そのなかで、幼齢の犬猫の販売年齢に関する規制を、業界の自主規制である生後45日とする、改正動物愛護管理法施行後3年間の経過措置の期限が今年8月に切れることを受け、生後56日以内の犬猫の販売を禁止する規制をいつから導入するのかなど、検討に向け現在準備を進めていることを明らかにした。
(※)猫などの哺乳類はストレスを受けると、血液中にコルチゾールが放出され、唾液や尿、糞便などに排出される。このことから、コルチゾール濃度の測定は動物のストレス調査に多く用いられている。
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