ペティーはビーグル犬のマレイを動物のさっ処分で初めて見たときの、その痛々しい姿をいまでも忘れられない。前の飼い主から捨てられ、彼の右耳と尻尾の一部は虐待によって切り取られていた。当時3歳だったマレイは食べ物も十分に与えられずやせ細っていた。
「そんな最悪な健康状態にもかかわらず、彼はフレンドリーで元気で、狩猟にぴったりの犬だとわかったわ」とペティーは振り返る。
マレイのその高い狩猟本能は、山ではなく空港で大いに発揮されることとなった。彼はアメリカ国土安全保障省が管轄する「ビーグル隊」に入隊し、乗客の衣服や乗客の荷物に違法物が隠されていないか嗅ぎ分ける仕事を任されている。ビーグル隊に所属するほとんどのビーグルはマレイのように保護された犬だ。
合衆国農務省の探知犬訓練センターで働くアロンは、ビーグル隊の犬たちの訓練を担当している。アロンはマレイに初めて会ったときのことを思い出してこう言う。「マレイが虐待されたことは目に見て明らかだったけれど、彼はまだ人間を信頼していて性格も明るく、人々と一緒にいることが大好きな様子だった。」
「マレイはいまではスターだよ」と言うのは、彼の農産物の専門で安全保障省の警察犬とともに働くゲラ。ゲラとマレイのチームは1日に2回アトランタ国際空港の荷物受取所を巡回し、持ち込み禁止とされている果物や肉、植物が荷物に入っていないかチェックしている。そういった食べ物や植物の発見は、国内での病気や危険な害虫による被害の蔓延を防ぐために非常に重要である。
「マレイにとって仕事は大きなかくれんぼゲームなんだよ。すごく楽しい。彼はエネルギーにあふれていて、目当のものを見つけ出そうと真剣なんだ。1日中休むことなく荷物を嗅ぎ続けて、そのご褒美としておやつをもらっている。彼があまりに働き者だから僕がサボっているようにみられてしまう」とゲラは笑いながら話す。
マレイをさっ処分場から引き取ったペティは「本当にすばらしい仕事をしてくれている。彼は違法の植物や食物を発見することで、何100万ドルもの国の費用を節約できているのだから。これ以上にない誇りよ」とマレイの活躍を誰よりもうれしく感じている。
ビーグル隊は9歳で引退し、仕事でチームを組んだ職員にペットとして飼われることになっている。マレイはまだ5歳なので、これからも国の安全を守るために多いに活躍してほしいものだ。
「マレイはこの仕事が大好きで、そのおかげで僕自身も仕事がさらに好きになったよ。毎日、1日中、違法なものがないか探すこの仕事を彼が楽しいものに変えてくれるんだ」とゲラは話す。
関連URL: Formerly Abused Rescue Dog Now the Star of Homeland Security's 'Beagle Brigade'