「行動範囲の限られた場所で人間に飼われている動物の方が、野生の動物よりも認識能力が高い」という長年の定説が、オウムを使った新たな研究で大きく揺らいでいる。
オーストリアのウィーン獣医大学は、インドネシアなどの亜熱帯ジャングルで暮らす野生のシロビタイムジオウム8羽と、研究所で飼育しているシロビタイムジオウム11羽をそれぞれ比較研究した。
研究チームはそれぞれのオウムに幾つかの簡単な問題解決テストを課した。「イノベーションアリーナ」と呼ばれる実験で、半円の板に20個の小さなドアがあり、ドアの向こうには別々のゲームが用意してある。ノブを回す、シーソーを動かす、レバーを引くといったアクションを必要とし、正しく理解して動かせると食べ物を得ることができる。
研究所のオウムは人や実験器具を見慣れているせいか、11羽中10羽が意欲的に取組んだ。一方、野生のオウムは8羽中3羽しかやる気を出さず、状況を把握して動き出すまでより多くの時間がかかった。
しかし、実験に取り組めたオウムで比較してみると、両者ともにゲームをクリアでき、認識能力に違いは見られなかった。
興味深いのは、それぞれのオウムが独自の解決方法で課題に取り組んだことだ。たとえば曲った針金をまっすぐにすると小窓が開くゲームを行った際、研究所のオウムは針金を伸ばそうとしたのに対し、野生のオウムは針金には注目せず、小窓のヒンジをくちばしで緩めて開けようとした。
研究チームのリーダーは「オウムたちはどちらも同じくらいの知能を持っていて、多くの実験で僕らをえっ!と驚かせるような、ズル賢い知恵を使って問題解決をしていた」と振り返っている。
チンパンジーやシジュウカラなど多くの動物は、人間との接触が多い方が野生で暮らすよりも知能が高いと考えられてきたが、オウムのワル知恵?によってその定説は覆えられそうだ。
ワールドペットニュース
野生のオウムと人間と暮らすオウム、より賢いのはどっち?
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