昨年カリフォルニア州は過去最悪とも言える甚大な山火事を経験した。約1万件の火事によって、420万エーカー以上もの土地が焼き尽くされてしまった。
今年も高温乾燥の夏になりそうで人々の不安が高まっているが、山火事被害を最小限に止めるための取り組みをしている人もいる。
カリフォルニア州ペスカデロにあるトムカット牧場のオーナーであるテイラーさんだ。1800エーカーの広大な草原で牛を育てたり、家畜についての学習ラボを開いている。
牧場を火事から守るため、彼はNPO法人「Goatapeli Foundation(ゴータペリ・ファウンデーション)」に連絡を取り、ある動物の力を借りることにした。団体の名前がヒントになっているが、なんの動物かわかるだろうか。
団体がトムカット牧場に連れてきたのは、850匹のお腹を空かせたヤギたちだった。牧場の土地は乾燥しており、その上に比較的燃えやすい草が茂っている。その草をヤギが食べて尽くしてくれれば、山火事が起こっても火の拡大を食い止めるられるという狙いだ。
「私たちの数ある山火事被害軽減策の中でも、ヤギたちはエコフレンドリーで重要なツールです。4月22日はアースデイ(地球の日)ですが、カリフォルニアがどうやって火事に負けない生態系をつくり、土地をもっと健康にし、動植物や人間が暮らしていくのに欠かせない自然の生態循環を再生できるかという課題を、草を食べてくれるヤギたちを通して考えてほしいです」と、ゴータペリ・ファウンデーションは大切なメッセージを投げかけている。
トムカット牧場に放たれたヤギたちは、スタッフの誘導のもとで広大な草原の草を順番に食べていく。彼らは草の掃除をするだけでなく、土壌の安定化や土砂崩れの防止にも一役買っている。
また、草を根こそぎ食べることで土が掘り返され、激しい気候変動に合わせて植物たちが変化していくのを助けている。まさにヤギたちは生態系に「生きるエネルギー」をもたらす救世主だ。
牧場オーナーのテイラーさんは、このヤギを使った火事被害防止策を今後も続け、その経験から得た学びを公に共有していくつもりだ。
関連URL: Hungry Firefighting Goats are Helping California Prepare for the 2021 Wildfire Season