道を歩いていると、散歩をしているかわいいワンコと目が合い、しっぽを振って寄ってくるので思わずなでなで。触れ合った時間はわずか数分だったが、そのあとは何だか嬉しくてリラックスした気持ちになった。犬好きの人であれば、誰もがそんな経験をしたことがあるだろう。
じつは犬を飼っていなくても、他者の犬とほんの少しの時間ふれあうだけで心身の健康にメリットがあることが研究で明らかになった。
ヴァージニア・コモンウェルス大学で人と動物の相互作用を研究する機関でディレクターを務める心理学者のナンシー・ジー氏は、人が犬と5分から20分ほど触れ合うと、ストレスホルモンであるコルチゾールの数値が下がるという調査結果を示している。自分の犬はもちろんだが、他者の犬であっても効果があり、ストレス軽減とともに幸せホルモンであるオキシトシンも増加する。
さらに嬉しいのは、犬も人と触れ合うことでオキシトシンが増え、精神面での健康促進につながる。
もちろん犬嫌いやアレルギーを持った人は対象外だが、動物が好きで触ることに好意的な人にとっては大きな健康効果が期待できる。
犬との短時間交流は子どもの発達や学習にもメリットがある。イギリスで8〜9歳の子どものクラスに週に2回犬を招いて交流を試みた結果、わずか1ヶ月で子どもたちに変化が見られた。子どものストレスが減り、以前よりも長い時間集中力を持続でき、学校での全体的なパフォーマンスが向上したのだ。
獣医の専門家であるメーガン・ミュエラー氏は、「動物のなかでもとくに犬はいつも今を生きている。草の匂いを嗅いだり、おもちゃ遊びに夢中になったり、目の前の人に全力で愛情表現をしたりする犬には過去や未来のことは頭にない。いつでも今を楽しむ犬と触れ合うとき、私たち人間はスマホから離れて『今ここ』に注意を向けることができる」と述べている。犬はまさにマインドフルネスの達人なのかもしれない。
犬を飼っていなくても、生活のなかで犬とのちょっとした触れ合いを増やしていくことが大事だろう。しかし、散歩中の犬は必ず飼い主の許可を得てから触れるように気をつけたい。
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