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クローンで生まれた絶滅危惧種のイタチに赤ちゃん誕生

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クロアシイタチという動物を聞いたことがあるだろうか?足が黒く、目の周りもパンダのように黒くて愛らしい見た目のイタチで、主に北アメリカに生息する。プレーリードッグの減少と環境破壊などが原因で個体数が激減し、80年代はじめには絶滅したと言われた。

しかし、1981年にワイオミング州でクロアシイタチが再発見されたのをきっかけに、保護と繁殖の取り組みがアメリカで本格的に始まった。その繁殖プログラムでは最先端のクローン技術を導入し、1988年に採集されたウィラという名前のフェレットの遺伝子を用いて、2021年に初めてのクロアシイタチのクローンが誕生した。

アントニアと名付けられたそのクロアシイタチが、今年11月に3匹の子どもを出産して話題になっている。クロアシイタチのクローンが出産に成功したのは米国で初めてのことで、3匹のうち1匹は生後間もなく死んでしまったが、残りの2匹は男の子と女の子で健康状態は良好であるという。

アントニアとその赤ちゃんは、さらなる研究のため、バージニア州にあるスミソニアン国立動物園・保全生物学研究所(NZCBI)で保護される予定だ。
「クローンによる繁殖に成功し、その後アントニアの子どもが誕生したことは、絶滅危惧種の保護における大きな節目となる」と、スミソニアンNZCBIのシニア・キュレーター、ポール・マリナーリは声明で述べた。

この出産は、この種に必要な遺伝的多様性を回復させる機会としても重要視されている。現在生息している7匹の限られた個体間での繁殖は、遺伝子に偏りが生じてしまう。しかし、ウィラの遺伝子はそれら7匹の3倍の遺伝的多様性を含んでおり、ウィラの遺伝子を引きつぐアントニアの2匹の子を集団に導入することで、クロアシイタチ種の遺伝的多様性が高まり、長期的な個体数回復に貢献する可能性がある。

絶滅危惧種の動物において、個体数の回復には遺伝子の多様性を無視できない。そういった意味でクローン技術を導入することは、課題解決の糸口となるかもしれない。
違う時代に生きていたクロアシイタチが、タイムスリップをして異なる遺伝子を今のイタチたちにもたらしている。そんな遺伝子の時空移動をあなたはどう感じるだろうか。

関連URL: Baby black-footed ferrets first to be born to a cloned mom

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