エサを食べることに夢中になっていたヒグマはしばらくカラスを無視していたが、おもむろに立ち上がると池の中に左手を入れ、カラスを岩肌に押しつけて固定し、口でカラスの羽根をつかんで一気に水から引き上げたのだ。この光景を見ていた誰もが、次にヒグマはカラスをムシャムシャ食べ始めるだろうと残酷なシーンを想像したに違いない。しかし、ヒグマは何ごともなかったかのように、仰向けのまま動かないカラスを残してエサを食べに移動してしまった。茫然自失で、寝転がったまま動けなかったカラスだが、次第に手足を動かし、羽根を使って身体を起こすことができた。
ヒグマはもともと雑食だから、自然界で飢えていればカラスを食べることもあるだろうが、動物園で豊富にエサを与えられ満足している状況では、カラスは食料というより、同じエリアを共有する生き物どうし、という感覚なのだろうか。カラスを助けたクマの真意がどこにあるのかわからないが、おぼれかけたカラスの命を助けたクマの行動には、人間としても見習うべき点があるのかもしれない。
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