シェルターに保護されている犬や猫たち。誰も引き取り手があわられず、次から次へとまた新しい犬や猫が入ってくる。もらい手のない動物たちの行く末は、、、なんとなく想像がつくだろう。
アメリカでは毎年150万匹の保護動物が安楽死させられている。とりわけ捨て犬や野良猫の多い地域では、シェルターに連れられた動物の90%が殺処分されている。
そうした保護動物の問題解決に全身全霊をかけて取り組んでいる人の1人がピーター・ロークだ。彼は毎日、自分の飛行機に殺処分になりそうな犬や猫を乗せ、まだ空きのある他の地域の保護施設へと運んでいる。
妻の突然の死をきっかけに医師の仕事を辞め、何ヶ月も自宅で塞ぎ込んでいた米国人男性のピーターに転機が訪れたのは2012年。
「残された自分の人生をちゃんと生きろよ」という友人の励ましに目が覚め、小さい時から憧れだったパイロットの仕事をする決心をした。16歳の時に取得した飛行機操縦資格と、父から譲り受けた小型飛行機を手に何をしようかと考えた時、飛行機を使って保護動物の救護をすることを思いついた。
ピーター自身3匹の保護犬を飼っており、毎日何千匹もの犬や猫が殺処分されている現実を自分が変える必要があると感じていた。
はじめは1回の飛行にたった1匹の犬を乗せるという非常に非効率なやり方だったが、彼の取り組みを知ったほかの保護動物救護団体から声がかかるようになり、今では1回の飛行に150匹から250匹の犬を輸送している。
ピーターは15の州をまたぐさまざまな地域の保護動物施設と連絡を取り合い、保護動物の多いテキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、カリフォルニアから、コロラドやアイダホ、モンタナ、オレゴンなどの州へ動物たちを運び、彼らに生きるチャンスを与えている。
ピータの非営利組織は「Dog Is My CoPilot. (犬は私の副操縦士)」と名付けれられ、設立以来8年間で数え切れないほどの動物たちの命を救ってきた。彼の献身と努力は共感を呼び、多くの人が寄付を寄せ、大手ペットショップの財団も経済的支援をしている。
パイロットとして週休1日の忙しい日々を送っているピーターだが、これからの8年をとても楽しみにしている。
「忙しいのは良いこと。私が救った分だけ、私も救われているんだ」。そう言って微笑む彼は、まさにヒーローそのものである。
関連URL: How this former doctor ended up flying thousands of dogs across the country to save them