コロナウイルス感染予防のためのワクチンが各国で開発され、人を対象に接種が始まっている。では動物向けのワクチンは必要なのだろうか?
これまでに猫や犬が感染しており、犬猫から人に感染する可能性はないものの、猫同士では感染することが分かっている。
欧州では大量のミンクが爆発的に感染を起こし、変異型のウイルスを人へ感染させている。研究者たちは人、ペット、家畜から野生動物へと感染が広がると世界は制御できない疫病貯蔵庫となってしまうと懸念している。
動物へのワクチン接種に関して、専門家は以下のように述べている。
ペットとして飼っている犬猫に関しては早急にワクチンを打つ必要はない。人への感染の恐れがなく、ペット自身が感染しても症状が軽いからだ。アメリカ政府としてもペット向けのワクチンは提供しておらず、どうしても接種を求める場合は民間企業を通して入手するほかない。
しかし、チンパンジーなどの霊長類は過去に呼吸器官に被害を及ぼすウイルスにかかって死亡したケースもあり、変異型によって野生の霊長類が絶滅に追い込まれてしまう可能性もある。大量死しているミンクやフェレットの中には絶滅危惧種も含まれており、それらの種を保護していく責任もあるだろう。
まずは人間とそうした動物たちとの関わりを見直す必要があると専門家は言う。これまで多くのミンクを密な状態で飼育してきた農場は抜本的な改善が求められる。また、動物園で暮らす希少動物が感染しないよう、特にゴリラやチンパンジーを見るときは必ずマスクを着用してほしい。
動物向けのワクチン開発も世界では着々と進んでいるようで、12月中旬にロシアはミンクや猫などのペットに効くワクチンがまもなく完成すると発表している。詳細はまだわからないが、数ヶ月後には入手可能になる予定だ。
ワクチン開発が進んでいるとはいえ、コロナウイルスや変異型の感染が世界で蔓延している状況を鑑みると楽観的になれない。すでに次のパンデミックに備えて人々は感染予防に努め、できるだけ野生動物との接触を減らすことが大切である。森林伐採、野生動物の不法取引などが、新たな変異型ウイルスの発生も招く可能性が非常に高いと専門家は警鐘を鳴らしている。
自然、人、動物が共存している以上、ウイルス収束のためには、同時にさまざまな社会問題、地球問題と向き合っていかなけばならないのだと気付かされる。
ワールドペットニュース
動物にコロナワクチンの接種は必要?
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