養蜂の仕事は簡単ではない。とくに大きな爪を持つ泥棒がたびたび夜に忍び込み、商品であるハチミツを盗んだら商売にならない。
ハチミツ好きで知られる熊は、人里に降りてきて養蜂用のハチミツを食べてしまうことがよくあるそうだ。どうやって熊からハチミツを守るかは、世界の多くの養蜂家にとって悩みの種である。
トルコで養蜂業を営むセデフさんもその1人で、これまでにあらゆる熊対策を講じてきた。蜂の巣を金属のケージを入れたものの、まもなく熊はケージの開け方をマスターしてしまった。
ハチミツを食べる前にお腹を満たしてしまおうと、敷地内にパンやフルーツをたくさん置いてみたが、それらを食べてもなお熊たちはデザートにハチミツを欲しがった。
困ったセデフさんは熊の生態や行動をもっと知るべきだと感じ、隠しカメラを設置して熊が夜中にどのようにしてハチミツを食べているのかチェックした。何度も録画映像を観て気づいたことがあった。熊は手当たり次第に食べるのではなく、選りすぐって気に入ったものだけ食べている様子だった。
それを知ったセデフさんは面白いアイデアを思いついた。なんと彼はハチミツ泥棒だった熊たちを「ハニーテイスター(ハチミツの鑑定役)」に任命したのだ。
彼はピクニックテーブルを外に設置し、その上に4種類のハチミツを容器に入れて置いた。さて熊たちはどのハチミツを最も気に入って食べたのだろうか?
結果は明らかだった。何度実験をしても熊たちはアンザーハニーを選んだ。アンザーハニーはトルコ北部のアンザー高原に咲く花だけで作られる非常に希少なハチミツで、1キロあたり3万円もする高級品である。
どうやら熊たちはアンザーハニーに香りが好きなようで、テーブルに置く位置を変えても真っ先にそれを食べ、桜のハチミツには見向きもしなかった。
セデフさんが思いついた奇抜で可愛らしい実験動画はインターネット上で話題となり、アンザーハニーへの関心も高まっているようだ。熊たちがPR大使となり、かつては害獣だった熊とともにセデフさんのビジネスも成功することを期待したい。
関連URL: Bears Kept Stealing Honey From This Man’s Bee Farm, So He Turned Them Into Honey Tasters