自然の植物から抽出されたエッセンシャルオイルはリラックスや血流改善、殺菌などさまざまな効果があると言われている。
ディフューザーなどで部屋にアロマを焚く人も多いかと思うが、とりわけ嗅覚や呼吸器官が繊細なペットにとっては有害になる恐れもある。
テキサスA&M大学で獣医学と生物医学を専門とするテラー准教授は、ペットのいる家庭におけるアロマの使用について注意を呼びかけている。
「多くの人がエッセンシャルオイルディフューザーを使っていますが、ペットの健康を害するリスクがあるという認識はとても低いです。単にペットがその空気を吸い込む可能性があるだけでなく、もしオイルが何らかのルートでペットの肌に触れてしまうとリスクはさらに高まります。もっとも危険なのはオイルが口から体内に入ることです。ディフューザーのミストをじかに吸い込んだら微量でも体内に入りますし、何かの間違いでオイルがペットの毛に落ち、グルーミングをしている際に舐めてしまったらとても危険です」。
エッセンシャルオイルに対する反応はペットの種類によって異なるが、特に犬は嗅覚が敏感なので気をつけた方がいい。人間にとっていい香りであっても犬には不快で咳や呼吸困難を引き起こす恐れもある。
猫も自分の体を舐める習性があるので、ほかの動物よりもオイルを体内に取り込んでしまうリスクが高い。とくに猫の体は有害物質を分解する肝酵素を備えていないので、人間と同じように体内で処理できないと理解しておくことが大切だ。
また鳥類も呼吸器官が非常に敏感なため、鳥を飼っている家庭ではディフューザーの使用は避けるべきだとテラー氏は警鐘を鳴らす。
もちろんすべてのエッセンシャルオイルがペットに有害というわけではない。ペットショップに行くとペット向けのアロマ商品が売られていたりする。しかしそれらは必ずしも自分のペットに安全かどうかはわからない。なかにはエッセンシャルオイルだけではなくほかの化学物質が含まれていることもあるので、使用前に獣医に相談する方がよいだろう。
以下は、アメリカの「アニマル・ポイズン・コントロールセンター」が提示しているペットへのリスクが非常に高いエッセンシャルオイルである。ペットの健康を守るため、たとえ低濃度であっても絶対に使用しない方がいい。
・ペニーロイヤル
ノミ退治に効果的と謳われているが、嘔吐や肝臓機能に障害を及ぼす恐れがある
・ティートゥリー
肝機能障害、嘔吐のほか、小型犬の脊椎にオイルが触れると体の麻痺などを引き起こす
・ヒメコウジ、アメリカミズメ
サリチル酸というアスピリンなどの医薬品にも含まれる成分が入っており、嘔吐や胃潰瘍などを引き起こす
・シナモン、アニス、カモミール
クマリンという芳香成分を含み、繰り返し動物の体内に入ると出血の原因となる
・柑橘系
肌に直接触れるとひどい炎症を引き起こす
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