ベルギーのアントワープ動物園は、園のチンパンジーと親密な関係になっていた女性客に対して入園禁止の措置をとった。
その女性は園で暮らすチタという名前の雄チンパンジーに対して好意を抱いており、過去4年間にわたって毎週のように園を訪れてはチタと交流を深めていた。チタと女性はガラス越しに手を振ったり投げキスをしたりするほど親密な関係で、園のスタッフは見物客として度の過ぎた行為に懸念を募らせていた。
今回女性に対して入園禁止という厳しい措置をとった背景には、チタの群れのなかでの孤立があった。チタが見物客に気を取られていると、ほかのチンパンジーはチタを無視して群れの一員として扱おうとしない。チタは動物園が閉まっている時間帯であっても群れから離れて1人で座っていることが多い。
「あまりに人間に意識が向いている動物は仲間から尊重されなくなります。私たちはチタにはできる限りチンパンジーとして生きてほしいのです」と園の関係者は述べている。
チタは30年前にアントワープ動物園にやってきたが、その前は人間のペットとして飼われていた。そうした背景からチタは自然と特定の人間に懐いてしまう傾向にあるという。園としてはチタと女性を離すことでチタがほかのチンパンジーと関係を深めていければと願っている。
一方で入園を断られた女性は怒りをあらわにし、「私はチタを愛していて、チタは私を愛している。どうして私たちの関係を引き裂こうとするの。ほかの客はチタを観れて私はダメなんておかしいわ」と、園と真っ向から対立しているようだ。
本来人を喜ばせるためにある動物園だが、動物にとって本当の幸せとは何だろうか?それぞれが違った背景を持って園に引き取られているため、チタのように人が大好きな動物もいる。野生に近い生き方をさせることだけが幸せではないのかもしれない。
女性との接触を断たれたチタがこれからどう変わっていくのか気になるところだ。
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