コロラド州の自然豊かな森のなかに暮らすアンディさんは、外に出てギターなどの弦楽器を弾くのが趣味だ。家のまわりには野生の鹿や七面鳥などが生息しており、アンディさんは自分の音楽を気に入ってくれる動物がいたらいいと思いながら毎日弾き続けていた。
ある日デッキでギターを弾いていると1匹のキツネが寄ってきた。そのキツネはアンディさんの前で立ち止まり、音楽に聴き入っているようだった。その後もほぼ毎日のように同じキツネがやってきて、アンディさんはそのキツネをフォクシーと名付けて互いに少しずつ距離を縮めていった。アンディさんはフォクシーがどんな音色が好きなのかを知りたくてギター、バンジョー、バイオリンを代わる代わる持ち出してフォクシーに聴かせてみた。いまのところフォクシーはバンジョーの音色が一番気に入っているようだ。
フォクシーはシンプルな奏法が好みのようで、アンディさんがピックを使って弾くとどこかへ行ってしまうが、クローハンマーという爪を使ってシンプルに弾く奏法を試すとフォクシーは明らかに興味を持っている様子で音色を楽しんでいた。
冬が来て雪が降っていてもフォクシーは定期的にやってきて、妹や母親も連れてくるようになった。キツネの家族がそろって音楽を聴きにくるなんてまるで絵本の物語のようだが、アンディさんはほかのキツネたちとは適度な距離を保つようにしている。キツネはずる賢くて悪さをすることもあるが、フォクシーはとても穏やかで優しく、一緒にいて安心できる存在なのだ。
今ではアンディさんは父親になり、赤ん坊である息子が窓越しにフォクシーを見つけて喜んでいる姿を見て幸せを感じると言う。アンディさん一家はフォクシーを信頼し家族の一員だと感じており、ペットの犬と散歩をするような感覚で息子も外に連れてフォクシーと一緒に音楽を楽しんでいる。
野生動物たちが暮らす美しい大自然に囲まれて暮らし、音楽を通してキツネと仲良くなったアンディさん。音楽も人生もシンプルが一番だとフォクシーから学びながら、最高に幸せな人生を送っている。
