アメリカの郊外や自然の多い地域では野生のクジャクが街を歩いており、人間と適度な距離を置いて暮らしている。
アメリカ人女性のローレンさんはある日、自宅の庭の畑でメスのクジャクが卵を産んだことに気づいた。しかし母親は卵から孵ったヒナを置き去りにしてもどってこない。心配になったローレンさんは野生動物保護センターに連絡したものの、生まれたばかりのヒナは保護できないと言われた。
このまま死なせるわけにはいかないとローレンさんはヒナを自宅へ連れていき、「ホリー」と名付けて世話をはじめた。ホリーは手の平に乗るほど小さく、体は茶色と黒もまだら模様でクジャクとは想像できない姿。まだよく目が見えないので、ローレンさんに支えられながらふらふらと不安定な状態で歩いていた。
毎日餌を与えてもらい、ホリーは少しずつ足取りが安定し、羽はふんわりと鳥らしくなった。ホリーさん夫妻にもすっかり懐いている様子だ。
その後、子猫くらいのサイズに成長したホリーは羽はまだ茶色いがクジャクらしい体つきになり、頭にはちょんまげのような冠羽が生え始めた。
ローレンさん夫妻は庭に鳥小屋を作り、ホリーに少しずつ外の世界に慣れさせようと試みた。怖がってローレンさんにしがみついていたホリーだが、土の感触や木々の鳥の声、虫などに興味を示し、徐々に外で過ごす時間が増えていった。
ホリーの羽が美しい緑色へと変化した頃、ローレンさんは巣立ちのときだと判断し、ホリーをその夜外へ完全に解放することにした。自由の身となったホリーは自分の足で行きたいところへ行き、翌朝にはいなくなっていた。
ローレンさん夫妻は「もう会うことはないだろう」と少し寂しく思っていたが、2週間後にホリーはまた戻ってきた。どうやらお腹が空いていたようで、朝食のフルーツを奪い取るやんちゃぶりにローレンさんは頬が緩んでしまった。
それからホリーは朝ごはんの時間に訪ねてはフルーツと水をもらい、また自分の巣へと戻っていくという半野生暮らしを楽しんでいる。いつでも安心して立ち寄れて、お腹と心が満たされる場所があるのは、母親に捨てられて育ったホリーにはとても大切なのだろう。こんな美しいクジャクと朝食をともにできるなんて羨ましい限りだ。
ワールドペットニュース
女性に保護されたクジャクの雛が美しい姿に成長
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