アメリカ南部を襲ったハリケーン「イアン」は、フロリダ州の広範囲にわたって甚大な被害をもたらした。多くの家屋が洪水で流され倒壊し、死者は78人を超えている。
ペットや動物たちへの被害も少なからずあったであろうが、洪水のさなかに逃げ場を失った1匹の猫を救出した男性の動画が大きな反響を呼んでいる。
フロリダ州ネープルに住む29歳のミカエル・ロスさんはハリケーンが直撃した日はビーチ沿いに住む両親の家にいた。
動画では水が膝上まで浸るほどの洪水のなか、ミカエルさんは家の周りを歩いている。家の窓から1匹の猫がエアコンの室外機の上にうずくまっているのが見えたからだ。だれかの飼い猫なのかノラ猫なのかわからなかったが、ミカエルさんはゆっくりと猫に近づいて抱きかかえた。
その後ハリケーンの勢力はさらに高まり、水位は3メートルまで上がってミカエルさん家族の家も大きな損害を受けてしまった。これまで何度かハリケーンを経験したミカエルさんだが、これほどひどいのは初めてだと肩を落とした。
しかし、失意と悲しみで呆然としているのも束の間。彼の知らないところで猫救出の動画がネット上で話題となり、ミカエルさんはヒーローになっていた。どうやらミカエルさんの母がミカエルさんのガールフレンドに動画を送り、ガールフレンドがその動画をツイッターに投稿したようだ。
一躍有名人になってしまったミカエルさんは驚きを隠せなかったが、その人気をうまく利用できないかと考えた。いまだに戦場のような悲惨な被災地を目の前にし、「自分より困っている人や動物のために何かしよう」と思い、インターネットでファンドレイジングを始めた。ハリケーンによって家を失った動物や人々を救うことを目的とし、すでにサイトでは250万円以上の募金が集まっている。
「ここに住む多くの人は家がなくなって、これからの数ヶ月はこれまでとまったく違う生活を強いられる。だれもが大変なときはお互いに助け合わなくてはいけない」と災害復興に目覚めたミカエルさん。彼が救出した猫は、飼い主が見つかるまで相棒として面倒をみるそうだ。
関連URL: Naples man who went viral in hurricane cat rescue now raising funds for displaced pets