1月末、ニューヨークのジョン・F・ケネディー空港に50個近くの動物用キャリーケースが到着した。ケースに入っているのは中国の犬肉産業で命を奪われそうになっていたところを救出された犬たちだ。コロナ渦のなか、1年に渡る犬たちの救出活動がやっと実を結んだ形となった。
犬たちの救出活動を担ったのは、アメリカの非営利団体「No Dogs Left Behind」。「どんな犬も見捨てられるべきではない」という言葉を団体名として掲げ、保護が必要な犬の救済と里親探しに尽力している。
当団体は中国の犬肉産業で食肉として屠殺される犬たちの命を救うため、1匹あたり2000ドル〜7000ドル(20万〜70万円)で業者から買い取り、毎年いくつかのグループに分けて救護した犬をアメリカへ輸送している。
サウスカロライナ州に住むラックリフさんは、1年前に当団体が中国から救護したダルメシアン犬のエマを里親として迎え入れた。食肉となる予定だったエマは前足が切断され、尻尾や耳の一部も切断されており、いかに残酷な状況の中を生き延びたかを物語っていた。
ラックリフさんはエマを飼う前にも、障害のあるダルメシアン犬をいくつか世話をした経験がある。エマを迎え入れた後は、心身が回復できるように水泳やマッサージセラピーなどを積極的に取り入れている。
世界では毎年3000万頭以上の犬が食用として屠殺されており、その3分の1が中国で起こっている。
ラックリフさんはエマの飼育を通して、当事国である中国や韓国、エジプトなどにこの問題の重大さを啓蒙し、犬は家畜ではなく愛される権利をもった動物であると伝えようとしている。そしてアメリカに連れて来られれば、犬たちは幸せな暮らしを送れると言うことも。
エマのために3Dプリンターで製作している車椅子がまもなく出来上がるそうだ。車椅子に乗り目を輝かせて自由に外を歩き回るエマの姿は、食用犬の禁止を願う世界中の人々にとっての希望となるだろう。
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