アリゾナ州に住むマディソン・モリスさんと父親のスコット・モリスさんはとても気の合う親子で動物が大好きだ。
そんな2人が今年4月にあるユニークなビジネスをスタートさせた。ピックアップトラックにトレーラーを繋げ、移動式のペットグルーミングサービスを提供している。
開業以来、2人はフェニックス市内を巡回しながらすでに350頭以上の犬のグルーミングをしてきた。グルーミングに使うシャンプーなどはすべてナチュラル素材で、モリスさん親子はともにペットCPRの資格を持っているので顧客からの信頼も厚く、予約は2週間先までいっぱいという人気ぶりだ。
移動式グルーミングというアイデアはコロナ渦のなかで父親のモリスさんが思いついた。ステイホームでより多くの人がペットを飼い始めたけれど、外出規制でグルーミング店に行くのが困難な状況だった。飼い主の家までグルーマーが来てくれれば便利だし、感染のリスクも避けられる。間違いなくヒットするだろうとスコットさんは確信していた。
しかし彼はアイデアだけで突き進んだわけではなく、その下地となる経験と娘との信頼関係があってこそ成功できたと言える。スコットさんは牧場をもつ親のもとで育ち、専門学校で動物のグルーミングとケアを学んだのち、大学でエンジニアリングを専攻した。
結婚後は助産のクラスを受け、マディソンさんの出産をアシスタントとして手伝った。マディソンさんが5歳のときに母親が家を出てからは、男手ひとつで育児とトラックドライバーの仕事を両立した。だからこそ父娘の絆は深く、2人がビジネスパートナーとしてともに働くのも自然な流れだった。
スコットさんにとってグルーミングビジネスは一か八かの賭けでもあった。「これまで誰かの夢を叶えるために働いてきたけど、50歳になった今、娘と一緒に夢を叶えたい!」そんな思いで中古トレーラーのローンに申し込み、運よく審査に合格することができた。
開業後1ヶ月間は週末と夜だけの営業にし、スコットさんはドライバーの仕事を続け、マディソンさんはバリスタや他店でのグルーマーの仕事をして生計を立てた。事業が軌道に乗ったいまでは、2人ともフルタイムで楽しみながら自分たちの夢に全身全霊を注いでいる。
息の合った親子の笑い声があふれるグルーミングトレイラーが来たら、きっと犬の飼い主なら誰もが声をかけたくなるだろう。
関連URL: 'This is my dream': Phoenix father and daughter build mobile pet-grooming business