レトリバーは社交的、シバは忠誠心が強い、ボクサーは攻撃性が強いなど、犬種が犬の気質や性格を形作ると考えている人は少なくない。
しかしアメリカで行われた1万8000匹を対象とした研究の結果、犬の性格を決める要因に犬種はさほど影響しないことがわかった。
そもそも犬種の歴史はそこまで長くない。オオカミから進化した犬を人間が犬を飼い始めた時期は1万年以上もさかのぼるが、狩猟や家畜などの用途に合わせて犬をさまざまな種に分けるようになったのはつい200年ほど前のこと。つまり犬種は近代の創造物と言ってよい。
研究では数千人の犬の飼い主に対して犬の生い立ちや日々の行動について調査をした。たとえば散歩中に草を食べるか、どのくらい頻繁におもちゃを追いかけるかといった行動の詳細を尋ねた。そしてDNAの配列からそれらの行動が犬の祖先と関連あるかどうかをしらべた。
その結果、たとえばジャーマンシェパードは調教しやすいがベーグルはそうでもないというように、犬種によってある程度行動に共通する部分があった。また雑種犬であっても、ある特定の祖先をもつ犬は共通して同じ行動をとる場合が多かった。たとえばセントバーナードを祖先にもつ雑種はほかの犬よりも愛情表現が豊かで、チェサピーク・ベイ・レトリバーの血をもつ雑種はドアを壊すのが好きだというデータ結果が現れた。
しかし平均すると、犬種が起因していると説明できる行動はわずか8%だった。とりわけ犬の攻撃的な行動と犬種の関連性は非常に低く、社会が勝手に「この犬種は気性が荒くて危険だ」というレッテルを貼って見ているだけなのかもしれない。
人間も「アメリカ人は社交的」だと一括りで決めつけられないように、犬種だけで犬の性格を判断するのはもはや時代遅れ。新たに犬を飼いたいと考えている人はそのことを念頭に入れて、同じ犬種でも個々の性格や行動の違いを見極めて選ぶのが賢明だろう。
関連URL: Massive study of pet dogs shows breed does not predict behaviour