ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が激化するなか、ウクライナ人のベゼナールさん一家は7月に国を出るという決断をした。
彼らは仕事、住み慣れた家、そして愛するペットも手放さなければならず、10歳の娘のアグネッサちゃんは悲しみに打ちひしがれていた。
彼らは飼っていたペットたちを親戚に預けてルーマニアへ行ったが、そこには一時的にしか滞在できなかったため米国へ移住することにした。そのとき母親のマリアさんはアグネッサちゃんに「アメリカに着いたら猫を飼おうね」と約束した。
一家は幸運にも「UkraineTakeShelter.com」というウクライナからアメリカへの移住支援をしている非営利団体とつながることができ、代表のピーターさんはカリフォルニアにある自分の別荘をベゼナールさん一家に無償で貸し出すと言ってくれた。
そして一家が居心地良く住めるように近所の人々はテーブルやベッド、キッチン道具などを家に用意し、アメリカに入国した日はピーターさんの孫たちが空港へ迎えに行った。
その後もピーターさんと奥さんは、運転免許の取得や子どもたちの学校入学などあらゆるサポートをし、猫好きのアグネッサちゃんのために保護猫を与えた。しかしアグネッサちゃんはウクライナで飼っていた猫のアーセニを忘れられなかった。
アグネッサちゃんの両親はアメリカ入国時に飛行機で仲良くなったフライトアテンダントに相談したところ、「私の知り合いのアテンダントがペット輸送に詳しいから聞いてみるわ」と動いてくれた。その後動物レスキュー団体とつながることができ、そのときたまたまレスキュー団体のメンバーがヨーロッパに旅行中だったため、ウクライナに立ち寄って猫を引き取ってカリフォルニアに連れてくることができた。
それは決して簡単な輸送ではなく、ルーマニアからギリシャ、モンレアル、シアトル、サンフランシスコという気が遠くなるような長旅を猫と一緒に乗り切ってくれたのだ。
そのメンバーがサンフランシスコに到着した際は、ベゼナールさん一家が空港で出迎える側となり、腕には「ようこそアーセニ!」というサインを抱えていた。はるばる故郷からきた愛猫との再会を果たしたアグネッサちゃんの目からは喜びの涙があふれて止まらなかった。
多くの大切なものを祖国に置いてきたが、カリフォルニアで新しいかたちの家族を得たベゼナールさん一家。「私たちの周りは親切な人ばかりです」と希望を胸に新たな一歩を踏み出している。
ワールドペットニュース
10歳の少女がウクライナに残した愛猫と米国で涙の再会
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