今年7月、カナダのブリティッシュコロンビア州にある「A Home For Hooves Farm Sanctuary」という動物保護施設に、アールという名前のかわいいロバがやってきた。
ロバは群れで生活する動物で、精神の安定のために仲間との交わりが不可欠だ。しかし、アールは10年間、野原で一人で暮らしており、大きな孤独を背負ったまま施設にやってきた。
アールを迎え入れた当時、施設にはほかにロバがいなかったので、アールの悲しみは消えなかった。それを見かねたスタッフは彼をはげまそうと、空気を入れて膨らむ大きなボールをおもちゃとして与えた。するとアールはすぐにそのボールに夢中になり、相棒のようにかたときも離れない仲になった。
ボールのおかげで明るさを取り戻したアールだが、悲しいことにわずか数週間でボールが割れてしぼんでしまった。
またしても喪失感を味わったアールを見て、スタッフはSNSに支援を求めた。
「アールは今、とても心を痛めています、彼の大切なボールがしぼんでしまい、ボールのないアールは今まで見たロバの中で一番悲しそうです。エサ代や維持費が高騰しているため、アールの愛用していたボールの代わりをすぐに手配できません」と書いたところ、数時間でその投稿は広まっていった。
心の支えとなるものを失う悲しさはだれもが共感できるし、なんとかしてあげたいと思うのだろう。何十人もの見知らぬ人たちが、アールがまたボールと暮らせるようにと、新しいボールとお金を寄付し始めた。
施設のスタッフは感謝の気持ちを述べるとともに、アールが新しいブルーのボールで楽しそうに遊んでいる動画を投稿した。「アールは今、どうしたらいいかわからないほどたくさんのボールを持っていて、自分のボールピットを作ることができます」と冗談も加えた。
さらに嬉しいことに、ほどなくして、3頭のロバが保護施設にやってきたのだ。アールはもうひとりぼっちではない。施設のスタッフ、そして多くの人の支援のおかげで、アールの生活はかつてないほど良くなり、仲間と幸せに暮らしている。
関連URL: This Lonely Donkey's Beloved Ball Popped — Then Something Beautiful Happened