名前を呼んだときや話しかけたときに、愛犬が耳をピンと立てて頭をかしげる。犬のしぐさのなかで最もかわいらしいと言っても過言ではないが、そもそもなぜ犬は頭をかしげるのだろうか。
人間の場合、ものごとを理解できないときや納得していないときに首をかしげたりする。犬の場合はどうなのかを米国で獣医として活躍し、Animal Hackersというペットの健康情報を紹介するウェブサイトの編集者でもあるペドロ博士に聞いてみた。
犬が頭をかしげる理由はいくつかあるが、1つは音をよく聞き取るためだと思われる。犬は聞こえた音や声の出どころがはっきりしないとき、頭を動かしてその音の方向に外耳を向けようとする。
多くの犬は耳が下に折れていたり完全に垂れて耳の穴を覆ってしまっているため音が聞き取りづらいことがある。頭をかしげるのは何かを聞き取ろうと集中しているのかもしれない。音波を耳に集めながら、その音がどこから来ていてどれくらい遠いのかを分析し、その音に対してどう行動するかといった思考回路も同時に働かせているのだ。
2つ目の理由は、飼い主とのコミュニケーションを深めるためである。犬は「あなたのことを聞いているよ」というメッセージを頭をかしげるしぐさを通して伝えている。
人懐こくて社交的な犬はこの理由がよく当てはまり、もっと飼い主に話しかけてほしくて戦略的に頭をかしげて注意をひこうとすることがある。
3つ目の理由は、飼い主をよく「見る」ためだ。これは犬ならではなのだが、犬は飼い主に話しかけられるとその意味をできる限り理解しようと努める。相手の顔の表情やジェスチャーも理解を深める重要なヒントになるが、長い鼻が視界を邪魔することがある。飼い主をちゃんと見るために頭をかしげているとしたら、なんとも健気でかわいらしい。
そのほかには健康問題が影響して頭をかしげる可能性もある。ぐるぐると回ったり、目の動きがおかしい、食欲不振、鬱症状なども合わせて見られる場合はすぐに病院で診察を受けた方がいいだろう。また、耳垢の詰まりや難聴、感染症といった耳のトラブルがないかを定期的に病院でチェックしてもらうことも大切だ。
医療的な問題でないのであれば、頭をかしげるしぐさは犬の飼い主への愛情や信頼のあらわれとして存分に楽しんでほしいとペドロ博士は話している。
